Salesforceのコアライセンスには、様々な種類があります。この記事では、Salesforceを安く使えるライセンス形態である、Lightning Platformライセンスの2つのエディション、Platform StarterとPlatform Plusについて解説します。使用する上での注意点や、おすすめの活用法も記載していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
前提:Salesforceのコアライセンスを整理
Salesforce用語にはなりますが、多様なSalesforce製品全体を使用する上での核となるライセンスのことを「コアライセンス」と呼びます。以下に示す通り、Lightning Platformもコアライセンスのひとつです。
これらのライセンスは、SalesforceのCRM機能を使用するために必要です。CRM機能とは、ここではSalesforceで一般的に想起される顧客管理やオートメーション、カスタムオブジェクトでのデータ管理などの機能を指しています。
そして他の機能、たとえばAIや分析基盤といった機能を使いたい場合には、コアライセンスにつけ足す形で購入していくことになります。
■コアライセンス
- Sales Cloud
- Service Cloud
- Lightning Platform
Lightning Platformライセンスとは?
Lightning Platformとは一言でいうと、
「Sales CloudやService Cloudよりも機能が制限されるが、安く使うことができるライセンス」です。
そして、ややこしいですがLightning Platformは、以下の2つの種類があります。
- Platform Starter:
価格:3000円/1ユーザー月額
カスタムオブジェクト数の上限が10個 - Platform Plus:
価格:12000円/1ユーザー月額
カスタムオブジェクト数の上限が110個
SalesCloudのEnterpriseエディションの19,800円と比較すると、Platform Plusは約40%安く使用できることになります。
Lightning Platformで制限される機能
Platform StarterおよびPlatform Plusライセンスは、標準的なSalesforce機能を持っています。
しかし、使用できる標準オブジェクトの範囲とカスタムオブジェクトの数は大幅に制限されます。
- 商談や商品、見積オブジェクトが使用できません。
- カスタムオブジェクト数の上限はPlatform Starterで10個、Platform Plusで110個です。
Lightning Platformで使える機能
一方で、以下に例示した機能では、SalesCloud等の通常ライセンスと同等の機能が使用できます。
- 取引先
- 取引先責任者
- 活動
- レポート&ダッシュボード
- フローなどのオートメーション
さらに知りたい場合は、Salesforce社のHelp記事に詳しい記載があります。
Lightning Platformを使う上での注意点
Lightning Platformを使用するためには、必ず1つ以上の通常ライセンス、具体的にはSalesCloudかServiceCloudのEnterpriseエディション以上が必要です。
全員がLightning Platformを使用するということは出来ません。
また、Lightning Platformにした場合、商談が使えません。標準オブジェクトをカスタムオブジェクトに置き換えて使用する場合の注意点として、標準の売上予測や、AIを使用した商談分析の機能が使えなくなります。Salesforceの標準機能は年3回のメジャーアップデートで毎年機能追加されていくのですが、その恩恵を受けられなくなってしまうという点は理解しておきましょう。
Lightning Platformのおすすめの活用法
Lightning Platformライセンスは、他のライセンスと組み合わせて使用することも出来ます。
例えば、システムを保守管理する2名の管理者のみが通常のSales Cloudライセンスを持ち、営業部門のユーザー30名にはPlatform Starterライセンスを付与するといったイメージです。
その際、営業部門をLightning Platformにしてしまうと商談が使えません。最も推奨できる使い方としては、商談を使わない部門のユーザーにLightning Platformを付与することです。
ただ、企業によっては以下のような課題があるかもしれません。
メインでSalesforceを使用する営業部門のユーザー数が最も多いので、どうしても営業部門のライセンス費用を安く抑えたい。
そんな場合は、苦肉の策ですが、商談をカスタムオブジェクトで作ってしまうことは可能です。商談のフェーズ管理や活動の登録はカスタムオブジェクトでもほぼ同様の形で再現できます。(前述の注意点は理解しておく必要があります)
ただし、使用感や細かい機能が想定と変わってくる可能性がありますので、明確に確認したい場合には、無料で使えるDeveloper Editionに登録して、自分でカスタムオブジェクトを作ってみてもよいでしょう。
Developer Editionの作り方はこちらの記事で紹介しています。
まとめ
Salesforceを初めて導入する場合には通常のSales CloudやService Cloudが最もお勧めで、まずはこれらを使ってSalesforceに慣れていくのがよいでしょう。
Salesforceの効果が出はじめ、ユーザー数を増やすタイミングでLightning Platformを検討するのが流れとしてはベターであると考えています。
費用にフォーカスし過ぎるあまり、使いづらい状態でSalesforceを導入しても、ユーザーに受け入れられなければ投資自体が無駄になってしまいます。それであれば、最初はデファクトスタンダードになっている通常ライセンスを使用して、運用がうまく回ってきてからコスト削減を検討する、という考え方になります。
運用が回ってきた段階であれば、商談を使わないユーザーの定義や業務設計、また、上限カスタムオブジェクト数の消費具合に関するノウハウも溜まってきているはずです。
以上の観点を考慮いただき、ぜひSalesforceを賢く使っていただければと思います。