本記事ではこれからService Cloud(サービスクラウド)を導入検討する方向けに、機能やSales Cloud(セールスクラウド)との違い、費用や注意点などを紹介します。
Salesforce Service Cloudとは?
Service Cloudは、カスタマーサポート業務のためのCRM(顧客関係管理)ツールです。
企業が顧客からの問い合わせに迅速かつ効率的に対応できるよう、問い合わせのチケット化、その割り振り、効率的なサポートのためのナレッジベース機能を備えています。
多様なSalesforce製品全体の中でのService Cloudの位置づけとしては、他のすべてのライセンスの核とみなされています。
例えばマーケティングオートメーションや分析基盤など、様々な種類のSalesforce製品が存在しますが、基本的には核となるライセンスであるService Cloud(あるいはSales Cloud)に対して繋ぎこんでいく形となります。
Service Cloudは、Salesforceへの入り口として、導入検討する際の初めの候補となるライセンスと言えるでしょう。
Salesforce Service CloudとSales Cloudの違い
Service Cloud(サービスクラウド)と類似したライセンスとして、Sales Cloud(セールスクラウド)が挙げられます。
Service Cloudはカスタマーサポートの生産性を最大化することに焦点を当てていることに対し、Sales Cloudは営業の生産性を最大化するための機能に強みを持っています。
Sales Cloudはマーケティングキャンペーン管理機能や一括メール配信機能(5000件まで)、獲得したリードをWEBフォームからSalesforce内に取り込むWeb to Lead機能を持っています。さらに、取り込んだリードを商談化しテリトリーで管理したり、売上予測をおこなうことができます。
このことからわかるように、Sales Cloudはリード獲得から受失注分析まで、一気通貫で営業プロセスを管理できるライセンスであると言えるでしょう。
ただし、これらの機能はService Cloudで全く使えないわけではなく、リードや商談といった機能はService Cloudでも使用することが可能です。Service CloudとSales Cloudの機能は、かなり多くの機能が重複しています。
Salesforce Service Cloudの主な機能
Service Cloudを活用すれば、顧客に対してより適正なサポートを提供することが可能となります。
適正なサポートとして求められるのは、質問についてきちんと回答が得られたり、要望について迅速に処理されることである、といえるでしょう。
これらを一定の水準に保ち、さらにその基準をアップさせ、カスタマーサクセスを実現するためには、Service Cloudのようなシステムを使用した管理や可視化が不可欠です。
以下に代表的なService Cloudの機能を紹介していきます。
顧客からの依頼や問い合わせの管理機能
ケース
ケースとは、顧客からの問い合わせや質問、要望をチケット化して管理する機能です。ケースに対して対応内容や活動を残していくことで、進捗状態を管理します。また、ケースは取引先情報に紐づいて保存されますので、同じ顧客と以前にどのようなやり取りがあったのかを詳しく知ることができます。
web to Case、メール to Case(ケース)
これらは、主に顧客からの問い合わせをキャッチしてSalesforce内部に取り込むための機能です。
web to Caseは、WEBフォームからの問い合わせや質問をケースに自動的に連携して取り込みます。
メール to Caseも上記同様、自動的にSalesforce内にデータを生成する機能ですが、特定のメールアドレス宛にメールが届いたことをトリガーとして起動する機能です。
これらの機能を使いこなすことで、顧客への対応をする担当者はSalesforceのケースだけを見て対応を検討すればよくなるため、カスタマーサポートがとても効率的になります。
自動レスポンスルール
WEBフォームに登録した際に、よく「ご登録ありがとうございます」というメールが届くと思います。そのような設定もSalesforceで行うことが可能です。web to Caseでデータが作成されたらメールを自動送信するという使い方が実現できます。
割り当てルール
web to Case、メール to Caseをはじめとして、何らかの方法でケースが作成された際に自動的に担当者を割り当てる仕組みです。1つの問い合わせを複数名で同時に処理してしまう混乱を防止することができます。
オムニチャネルルーティング
上記の割り当てルールと目的としては同様になりますが、問い合わせ対応をする担当者の業務の空き具合を鑑みて割り当てが可能となります。
ナレッジ
顧客からの電話問い合わせを受けた際に、受電担当者の習熟度によっては即座に回答できない質問がくる場合があります。
事前によく受ける質問をナレッジデータベースに溜めておき、受電担当者が即座に検索して使用できるようにしておけば、業務を標準化につながります。
また、ナレッジはSalesforceのChat botで活用したり、FAQとして外部に公開することも可能です。
顧客ごとのサービスレベルを定義(エンタイトルメント、マイルストーン)
エンタイトルメント
顧客に提供するサービスレベルを管理するための機能です。
たとえば、顧客の保守契約の種類が電話サポート有りなのか、メールサポートのみなのか、あるいは24時間サポートなのか、平日のみ9時-17時なのか、そしてサポート期間が1年間なのか半年なのか、といったものがサービスレベルになります。
サービスレベルを明確に定義することで、顧客側の期待値を調整することができます。
そうすることで、ベースとしてサービスレベルを満たしたうえで、あとはサポートのクオリティをどれだけ高められるかという本質に注力できるため有用です。
マイルストーン
マイルストーンは、カスタマーサポートにおける顧客起点のタスクに関して、完了に必要な時間や条件を定義するための機能です。
具体的には、タスクに期限や目標を設定し、期限が迫っても解決されていない場合には自動的に上長にアサインしなおすといった使い方ができます。
Service Cloudの価格体系と料金プラン
最新のService Cloudの費用はこちらのSalesforce公式ページに記載されています。
最も一般的なライセンスはEnterpriseエディションで、ほとんどの通常機能がこのエディションから使えるようになります。
上記金額は1ユーザーあたりの月額費用になっています。例えば30ユーザーであれば以下の通りです。
例)19,800円×30人=594,000円(月間費用)
594,000円×12か月=7,128,000円(年間費用)
購入する数量や時期によっては値引きしてもらえる場合もあります。
また、その他にかかってくる費用としては以下のものがあります。
・Salesforce社の提供する公式サポートであるPremier Success Planをもし付けるならば、ライセンス全体に+30%の費用となります。
・Salesforceを導入時、自社仕様にカスタマイズする場合には初期構築費用がかかります。
構築をおこなうのはSalesforce社ではなく、外部の開発パートナーです。
初期構築費用は開発難易度×開発パートナーごとにケースバイケースです。
Service Cloudを選定する際のメリット・デメリット
メリット
- 世界の巨大企業が使用する最高峰のソフトウェアを、たとえ社員数が数人であっても1ユーザー単位で切り出してスモールスタートできます。
- 年3回のアップデートで、自動的に最新のトレンドやユーザーフィードバックを取り入れ進化しつづけます。
- マーケティングオートメーションやBI(分析基盤)など様々なSalesforce製品とシームレスに連携できる拡張性があります。
- CRMのデファクトと言えるツールなので、Salesforce外部のツール側でシステム間連携の用意がされていることが多いです。
デメリット
- 他のCRMツールと比較しても最も費用が高いので、ROIを回収できるか熟考が必要です。
- 値上げされることがあります。自社も成長し続ける可能性が高く、Salesforceライセンスの値上げ分よりも自社の成長幅が大きくなるかどうか検討が必要です。
- Salesforceは継続的なカスタマイズが必ず発生します。運用体制が未計画だと、導入しても使いこなせず、もっとシンプルで安価なツールに乗り換える場合もあります。
まとめ
ここまで、Service Cloudの機能やメリットについて解説してきました。
Service Cloudはもともとはコールセンターなどしっかりとしたカスタマーサポート部門が確立された業種において多く活用されてきました。
一方で近年では、一度獲得した顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を最大化するために、カスタマーサクセス部門のある企業でService Cloudの導入が増えています。
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