ここではCRM Analyticsとはどんなツールで何が出来るのか、そして費用はどのくらいかかるのかを解説しています。また類似の他ツールとの比較もおこなっています。
CRM Analyticsとは
CRM Analyticsとは、Salesforceユーザーが、普段使っているSalesforce画面内でデータ分析を実現できるツールです。
Salesforceを使っていると、レポートをCSVでエクスポートして外部データと突合して集計し、最終的にはスプレッドシート上でグラフを作成する、というシーンが多く発生します。
そういった場合、データの出所が分からず、データ成形が属人化してしまいます。
そしてデータ集計の切り口も不明であるため、信頼できるデータなのかも不明、結局は活用しづらいという結果になりがちです。
こういった課題を解決するには、データを一人歩きさせず、一つのプラットフォーム上で管理することが肝要です。Salesforce外部のデータをSalesforce内に引き込んでダッシュボード化し、整理しておけば、ユーザーは常に信頼できるデータを分析しに行けます。
さらに、CRM AnalyticsはAIを搭載しています。これにより過去現在の経緯をもとにして将来的な見込みを予測することも可能です。
Salesforce Einstein Discoveryとは?Salesforceにおける分析ツールの変遷
もともとWaveとして知られていたSalesforceの分析ツールは、いくつかのリブランディングを経て現在に至っています。
Wave → Einstein Analytics → Tableau CRM → CRM Analyticsとして改名されました。
Tableauとは、Salesforceが2019年8月に分析プラットフォーム市場での地位を高めるために買収した完全に別の分析ツールです。
当時tableauがSalesforce上で使える、といったイメージでTableau CRMとネーミングしていたのですが、本家のtableauはSalesforce外で使われ続けているので、混同を避けるために最終的にCRM Analyticsとして落ち着いた経緯です。
CRM Analyticsでできること
CRM Analyticsでできることは以下の通りです。
- 外部データの接続
Salesforceに異なるソースからの外部データを取り込みます。
外部システムと自動的に接続するためには、別途ETLツールの導入もしくはAPI開発などが必要です。
最もライトな方法としては、CSVを取り込むことが出来ます。 - データの突合
何らかの突合キーによりSalesforce内外のデータを一つに取りまとめます。
- ダッシュボードによるデータのビジュアライゼーション
複数の表やグラフをグラフィカルに表示できます。
- モバイルデバイスへの対応
スマホやタブレットからもCRM Analyticsを閲覧できます。
- 地図にデータをプロット
地図にデータを落とし込んで表示できます。また、地図はカスタムで作成することもできます。
- CRM Analyticsからレコード操作
CRM Analyticsから直接レコードを編集することが出来ます。SalesforceとCRM Analyticsを行ったり来たりする必要はありません。
標準レポートやTableauとの比較
ここまでの内容で、CRM Analyticsで出来ることと、標準レポートやTableauで出来ることに重複する部分があることに気づいたかもしれません。データを分析するという観点ではその通りです。ただし、どのツールが適しているのかについて、いくつかの差異があります。
標準レポートとの違い
標準レポートはレポートタイプや結合レポートの仕様に制限されます。苦心して作成しても、ビジュアライズ観点で実質使えないケースがあります。また、外部データとの突合やデータ成形の機能は持っていません。
Tableauとの違い
Tableauは世界的にもっとも有名なデータ分析ツールです。機能面でCRM Analyticsに劣る部分はありません。違いとしては、Tableauは単品で選択することが可能です。CRM AnalyticsはSalesforceユーザーの利便性が高い反面、Salesforceユーザーライセンスを持っていないと使用することが出来ません。
価格
下図はSalesforce公式サイトより引用した価格です。Salescloud等のユーザーライセンスとは別に、以下の費用が掛かります。
まとめ
Salesforce社は、Salesforceを導入した企業が企業間の競争において差別化できる要素としてCRMやSFAを提供してきました。
これに続き、CRM Analyticsはデータドリブンな意思決定をおこなう助けとなり、データを活用できていないライバル企業との競争で優位に立てる可能性を提供しています。
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