Salesforceのレポート機能を使用することで、ユーザが⽇々⼊⼒するデータをクリックベースの操作だけで簡単に分析することが可能です。
レポートは、データ分析において決して万能のツールではありませんが、リアルタイムの組織の状態を可視化するには最適の⼿段です。
ひとたび慣れてしまえば感覚的に使⽤できますので、この記事では基本を完全解説します。
Salesforceのレポートとは
Salesforceのレポート機能は、組織内の多様なデータを集約し、分析するための強力なツールです。この機能は、日々の業務で蓄積される大量の顧客情報、営業データ、サービス活動などを理解しやすい形で可視化します。レポートをうまく活用すれば、組織の意思決定者やチームメンバーは、データドリブンな観点で戦略を立て、業務の効率化を図ることが可能になります。
レポートの主な用途
- パフォーマンス追跡: 個々の従業員や部署の成果を定量的に把握し、目標達成度を評価します。
- マーケティング分析: 市場の変化や顧客の傾向を捉え、マーケティング戦略を調整します。
- 顧客関係管理: 顧客ごとの取引履歴や相互作用を追跡し、売上UPに貢献します。
- 販売予測: 過去の販売データを分析し、将来の売上予測を立てます。
- 業務プロセスの最適化: 業務プロセスのボトルネックを特定し、効率化を図ります。
レポートは、これらの目的を達成するために簡単な画面操作で必要なデータを選択し、様々なフィルターやグルーピングを適用することができます。これにより、組織固有の要件に合わせた詳細な分析をおこなうことが可能です。また、これらの集計はリアルタイムで実行されます。
レポート・ダッシュボード・リストビューの違い
Salesforceでは、データの可視化と分析のためにリストビュー、レポート、ダッシュボードという三つの異なるツールを提供しています。これらは似たような機能を持つように思われがちですが、それぞれに明確な役割と適用範囲があります。
- リストビュー
リストビューは、単一のオブジェクト内のレコードを一覧表示し、一括編集するためのツールです。主に、特定の基準に基づいてデータを絞り込み、操作するために使用されます。しかし、リストビューは分析ツールではなく、表示されたレコードに対してのみ作業を行うためのものです。レコード数の表示制限や、単一オブジェクト内での絞り込みにのみ対応しているため、広範囲な分析には向いていません。 - レポート
レポートは、複数のオブジェクトを組み合わせてデータを分析するためのツールです。商談のリードソースの分析や、特定キャンペーンから生まれたリード数の確認、特定製品の顧客属性分析など、複雑な問いに答えるための詳細なレポートを作成することができます。レポートでは、データの行や列をグルーピングし、グラフを用いて視覚的に分析結果を表示することが可能です。 - ダッシュボード
ダッシュボードは、複数のレポートを一つのページに集約し、データの全体像を一目で把握するための機能です。ダッシュボード自体に分析機能はなく、既存のレポートを基にしてデータを視覚的に表現します。この機能は、組織全体の予実を一か所でリアルタイムに表示するなど、組織運営において大きな効率性をもたらしますが、BI(ビジネスインテリジェンス)的な複雑な分析は行えません。最後に更新した時点のデータを表示します。
Salesforceレポート3つの形式
レポートには表形式、サマリ形式、マトリックス形式の3つの種類があります。それぞれの違いや⾒⽅について解説します。
- 表形式:表形式は最も基本的で、詳細まで表⽰できる、何もグルーピングされていないレポート形式です。
- サマリ形式:サマリ形式のレポートは、データを指定した項⽬に基づいてグループ化し、そのグループ内でデータを集計するレポートタイプです。
サマリ形式で⼀度にサマリ出来るのは、グルーピング3段階までです。完了予定⽇、フェーズ、確度、などで3段階使い切った場合、それ以上グルーピングすることはできません。 - マトリックス形式:マトリックス形式では⾏と列の両⽅にグループ化項⽬を持ちます。
マトリックス形式の場合、2⾏×2列までのグルーピングや、⾏3×列1のグルーピングも可能な点がサマリ形式と異なります。マトリックス形式では、集計対象の項⽬しか表⽰されず、個別の項⽬は⾮表⽰となります。ただしセルをクリックすることで、画⾯下部に詳細を表⽰することも可能です。
Salesforceレポートの作成方法
レポートを作成するためには、以下のステップがあります。具体的な設定⽅法を確認していきましょう。
①「レポートタイプ」で集計対象となるオブジェクトを選択します。
②レポートに表⽰したい項⽬を選択します。
③絞り込み条件を定義して、必要なデータだけがレポートに表⽰されるようにします。
④レポートの共有設定を定義して保存します。
①レポートタイプを選択する
まずはレポートタブを押し、右上の新規レポートボタンを押してレポート作成を開始します。
次に表示されるのが、レポートタイプの選択画面です。
Salesforceのレポートは、オブジェクトをベースにして、当該オブジェクトに関連するオブジェクトのレコードを絞り込んで表示するという仕組みになっています。
レポートタイプとは、商談×商品、取引先×取引先責任者など、どのような組み合わせでレポートを作っていくのかを定義する、テンプレートのようなイメージです。
左側に「カテゴリ」メニューがありますので、そこから使⽤するオブジェクトを選択します。選択したオブジェクトに関連する様々な組み合わせのレポートタイプが中央に表示されます。
そのままだと数が多く選びきれないため、中央の検索窓にオブジェクト名を⼊⼒することでレポートタイプを絞り込み検索できます。
その際、左側の「カテゴリ」で選択しているオブジェクトの中からしか検索されません。
カテゴリを「すべて」にしてから検索すれば、全体から検索できます。
レポートタイプを選んだら、⻘い「レポートを開始」ボタンが表示されます。
ボタンを押下して次の画面に移動します。
②レポートに表⽰したい項⽬を選択する
左上のレポートタイトルが表⽰されている箇所の下部に「アウトライン」というタブがあります。「アウトライン」タブ内ではレポートに表⽰する項⽬を選択します。
表示項目を選択するには、赤枠で囲んだ「列」の検索窓から目当ての項目名を入力・検索して選択します。
慣れるまではブラウザの別タブでレポートの対象となるレコードを開いておき、項⽬名をコピペするとスムーズです。
また、項目をグループのセクションにドラッグ&ドロップすると行や列をグルーピングできます。例えば取引先名でグルーピングすると、同じ取引先の取引先責任者をひとまとめにして閲覧することが可能です。
行だけをグルーピングすると、サマリ形式。行と列をグルーピングすると、マトリックス形式のレポートになります。
③レポートに表⽰するレコードを絞り込む
レポートに表⽰するレコードを絞り込むには、下図の「検索条件」のタブを選択します。
次に、デフォルトで⼊っている絞り込み条件を必要に応じて整えます。
慣れるまでは、デフォルトの絞り込み条件を「すべて」「常時」などに設定して、すべてのレコードが表⽰されている状態をまずは作ります。
そのうえで、「条件」の下にある「検索条件を追加…」の検索窓から条件を追加して絞り込んでいくやり⽅が分かりやすいです。
④レポートの共有設定を定義して保存
レポートは後からでも細かく編集できますので、途中まで作成できた段階でいったん保存しておきましょう。右上の「保存」ボタンを押します。
すると、下図の画⾯が表⽰されます。「レポート名」を適宜⼊⼒します。ここはユーザーに対して表⽰され、何のレポートなのかを伝える部分です。
「レポートの⼀意の名前」は⾃動で⼊ります。レポートの⼀意の名前を⾒て何かをすることはほぼ無いので、⾃動⼊⼒に任せてOKです。
「レポートの説明」はユーザーに対して、レポート名の下に集計基準などを補⾜情報としてテキスト表⽰します。
「フォルダ」はこのレポートの置き場所を決定します。Salesforceのレポートは、フォルダに対して権限を設定する仕組みになっています。⾃分だけの分析⽤であれば「⾮公開レポート」で保存します。
レポートはURLを共有すれば他のユーザーも⾒ることができますが、「⾮公開レポート」のフォルダに⼊っていると⾃分しか⾒ることが出来ません。
他のユーザーに共有したい場合は、適切な公開フォルダに置きましょう。
置き場となるフォルダを選択するためには、画⾯右下の「フォルダを選択」を押すと、以下の画⾯が開きます。ここではレポートをどのフォルダに⼊れるのかを選びます。ここでフォルダを新規追加することもできます。
レポートの機能詳細
ここまでの操作で、基本的な操作はカバーできました。
ただし、レポートは使っているうちに色々とやりたいことが沢山出てくるものですので、継続して使いこんで体で覚えていく機能でもあります。以下に、レポートでどんなことができるのか概要を記載しています。
個別の機能に関する記事も追ってリリースしていきます。
- レポートをグラフ表示する
- ダッシュボードにレポートを配置する
- バケット列を活用する
- オブジェクトを跨いだ絞り込み条件
- レポート上で数式で集計する
- 行レベルの数式を作成する
- 検索条件ロジックを使用する
- 条件付き書式で見やすくする
- カスタムレポートを作成する