Salesforce上でデータ分析をおこなうためには、レポートは欠かせない強力なツールです。そしてレポートの中で数式を使いこなすことで、さらに出来ることの幅が広がり、柔軟なデータの可視化をおこなえます。
レポート内で使用する数式は、集計レベルの数式と行レベルの数式の2種類があります。本記事ではそれぞれの前提知識や違いと、設定方法を詳しく解説しています。
レポートの数式とは
Salesforceのレポートでは、数式を使わなくても合計や平均を自動的に計算する機能が備わっています。
例えば、金額の合計や平均値を出す場合、標準の集計機能を使うだけで簡単に結果を得ることができます。下図のように通貨や数値の項目をレポート上でクリックするだけで集計条件を変更できます。
しかし、レポート数式を使用することで、より複雑な計算をレポートに組み込むことが可能になります。
例えば以下のようなものです。このような情報を、オブジェクトにカスタム項目を作成したり、エクスポートしてExcel集計しなくてもレポート上だけで実現できるということが、非常に強力なレポート数式の価値といえます。
- 利益率の計算(集計レベルの数式)
- (売上-コスト)/売上
- 売上の前月比(集計レベルの数式)
- 「完了予定日が今月の商談レコードの金額」-「完了予定日が前月の商談レコードの金額」
- 値引き適用件数(行レベルの数式)
- もし値引きフラグがtrueだったら1とカウントする。falseだったら0とカウントする。
- 購買頻度に応じてテキストを返す(行レベルの数式)
- 5件以上の受注商談があったら「常連」、1件以上5件未満ならば「新規」を返す。
集計レベルの数式と行レベルの数式の違い
レポート数式には集計レベルの数式と行レベルの数式があります。
集計レベルの数式が既存の項目の集計結果を返すのに対し、行レベルの数式は、レポートに表示しているオブジェクトにあたかも新たな数式項目を作成したかのような使い方が出来ます。そして、それをグルーピング次第では1レコード単位ではなく行のグルーピング単位で適用できるのが行レベルの数式です。
行レベルの数式は普通のカスタム項目の数式のようにレポート上で使用できますので、数値型であれば合計を出すことも出来ます。
また、行レベルの数式で作成した項目をもとにして集計レベルの数式を作成することも出来ます。非常に便利な機能ですが、1レポートに1項目しか作成できず、行レベルの数式が参照できる項目は5個までですので注意が必要です。
一方で、集計レベルの数式は1レコード単位では使用できず、集計結果にのみ適用されます。集計レベルの数式は1レポートにつき5つまで、そして列の順番を前に持ってくることが出来ません。下図のように列の後半に固定されます。
集計レベルの数式の設定方法
レポート編集画面を開きます。レポートの作成方法はこちらで解説しています。
集計レベルの数式を設定するにあたり、一つでもグルーピングがされている必要があります。そのうえで、「列」セクションの下▼を押下し、「集計項目を追加」を選択します。
例えば下図のように入力します。赤枠部分を見ると、集計レベルの数式に金額を差し込んでいるのですが、金額を合計するのか平均で使うのかをここで選択することが出来ます。
下図の通り、関数のタブを選択して関数を選択し、挿入を押すと編集欄に関数をセットすることが出来ます。関数の種類は大量にあります。
サンプルの数式は以下のように設定し、完了予定日単位でのグルーピングで前の列との比較をおこなうようにしました。
前月比が出せています。
行レベルの数式の設定方法
レポート編集画面の下▼から「行レベルの数式を追加」を選択します。
数式の出力種別に通貨がありません。それ以外は集計レベルの数式と同様の編集画面になります。
このような数式を作成してみました。商談金額が0円だったら無料体験、1円以上だったら有料契約、というイメージです。
結果としては、マトリックスレポートの詳細行にしっかりと表示されています。行と列をそれぞれグルーピングしており、テキストはサマリして表示することが出来ないので詳細表示で出しているという格好です。
行レベルの数式のエラー「マトリックスレポートには少なくとも 1 つの概要を指定する必要があります。」のトラブルシューティング
行レベルの数式を作ろうとすると、「マトリックスレポートには少なくとも 1 つの概要を指定する必要があります。」というエラーが出て数式を保存できない場合があります。
翻訳の問題なのか、どうにも意味をつかみかねるのですが、解決策はあります。
マトリックス形式だからエラーが出ているということなので、サマリ形式など、列(縦)のグルーピングを解除した状態で行レベルの数式を作成します。
そのあとで再度、列をグルーピングしてマトリックスレポート形式にすると、そのまま行けます。
まとめ
本記事ではレポートの数式について、前提から集計レベル数式と行レベル数式の違い、行レベル数式のトラブルシューティングまで網羅的に詳しく解説しました。
数式を適切に使いこなすことで、データ分析の効率が大幅に向上します。ぜひ、これらの知識を活用してレポートの真価を引き出していきましょう。