Salesforceでの顧客管理において、複数の取引先に紐づく取引先責任者のリレーションを表現したい場合があります。
関連取引先責任者(取引先責任者 to 複数取引先)機能を利用することで、ひとつの取引先責任者を複数の取引先と関連付けることができ、複雑なビジネス上のつながりを簡単に整理することができます。
本記事では、関連取引先責任者とは何か、前提とその設定方法について詳しく解説します。
関連取引先責任者(取引先責任者 to 複数取引先)とは
Salesforceを使用して顧客管理していると、複数の取引先に紐づく取引先責任者が登場する場合があります。例えば、下図のようにAさんが甲社ではCEOで、乙社では社外取締役である場合などです。
この場合、Salesforce上では甲社と乙社は全く別の取引先です。もし仮に、Aさんを甲社のAさん、乙社のAさんで2名作ったとしたら、活動履歴が別々に積み上げられたり、甲社だけが引っかかる条件でメールを一斉送信してしまったりと、かなり不都合が生じます。
このような課題を解決するのが「関連取引先責任者(取引先責任者 to 複数取引先)」です。
「関連取引先責任者(取引先責任者 to 複数取引先)」とは、一人の取引先責任者を複数の取引先に関連付ける機能です。これにより、複雑なビジネス上のつながりを一元管理し、各取引先との関係を効率的に蓄積できます。
Salesforce上では、下図のように表示されます。
そして、Aさんの甲社での役割、乙社での役割を下図のように個別に甲社の場合、乙社の場合で分けて管理できます。
関連取引先責任者の設定方法
設定画面を開きます。サイドメニュー上の検索窓に取引先と入力します。サイドメニューに取引先設定が出てきますので、クリックすると下図の画面になります。編集を押します。(なお、この設定に関する考慮事項はこちらのHelpを参照ください。)
「取引先責任者を複数の取引先に関連付けることをユーザーに許可」をtrueにし、保存します。
関連取引先責任者を取引先レコードページに表示する
オブジェクトマネージャーで取引先を開きます。関連リストから「関連取引先責任者」を選択し、関連リストセクションにドラッグ&ドロップします。保存します。
設定後、取引先のレコードページを開くと、関連リストに関連取引先責任者が表示されているはずです。表示されていない場合には、lightningレコードページを設定して「関連リストひとつ」コンポーネントで関連取引先責任者を表示するなどして設定しましょう。
関連取引先責任者の活用方法
関連取引先責任者の右側にある下▼を押すと、下図の通りメニューが表示されます。
「リレーションを表示」を押すと、下図の画面が表示されます。
「ロール」を開くと下図のようになっています。Salesforceの権限設定のロールとは全然別モノで、シンプルにこの人がこの取引先の中ではどういった役割なのか?を表すロールにすぎません。複数選択リストで表現されています。ここのロールの中身は編集可能です。
「リレーションを編集」を押すと、下図の画面が表示されます。関連取引先責任者が表示されていた取引先レコード上でダイレクトに編集できる形ですね。
取引先と取引先責任者のリレーションについて
ちなみに、関連取引先責任者はオブジェクトです。オブジェクトマネージャーで取引先と入れると、下図のように取引先と取引先責任者のリレーションというオブジェクトがあるのが確認できます。クリックして開いてみましょう。
下図の通り、普通に項目を追加することが出来ます。ロールのほかに取引先別に分けて持っておきたい情報があるならば、ここから追加すればよさそうです。
なお、取引先と取引先責任者両方に参照のリレーションがあります。主従ではないので厳密には中間オブジェクトではないのですが「多対多」のリレーションをゆるく形成するリレーションになっているようです。
関連取引先責任者と主取引先
前半で解説した「取引先設定」の画面について、「取引先責任者を複数の取引先に関連付けることをユーザーに許可」をtrueにして保存すると、以下の項目が追加されます。画像のテキストを確認してみてください。
どうでしょうか。ちょっとこの日本語は意味があまりわからないですね。前提として、「主取引先」という考え方を理解しておかなくてはなりません。
下図は取引先責任者のレコードページです。赤枠部に登録されている取引先が「主取引先」になります。
関連取引先責任者を有効にすると、取引先責任者はひとつで、複数の取引先に紐づけが可能となります。その仕組みは、「取引先と取引先責任者両方に参照のリレーション」を使用した「多対多」のリレーションでした。
一方で通常、取引先責任者にとって取引先はひとつしかなく、取引先責任者に取引先を入力してリレーションを表現していますよね。その、元々使っていた取引先責任者の取引先項目に入っている取引先こそが「主取引先」なのです。とてもシンプルです。
そのうえでこの文章に戻りましょう。下図の上部「直接の取引先責任者がある取引先を削除」というのは、主取引先に入っている取引先レコード側を削除するときに、取引先責任者はどうするの?というのを聞いています。
下図の下部「ユーザーが取引先責任者レコードの主取引先を~」というのは、取引先責任者の取引先項目を編集した場合にどうする?ということですね。
まとめ
関連取引先(取引先責任者 to 複数取引先)の詳細について解説しました。取引先責任者を複数の取引先に紐づけたいシーンは結構遭遇しますので、そんな時思い出して使ってみてください。