Salesforceの価格表,商品,商談の関係性をすっきり理解

Salesforce商談オブジェクトといえば、商談管理で必ず使用する誰でも知っている機能です。一方で、その周辺のオブジェクト構成はかなり入り組んでおり、商品・商談商品・価格表・価格表エントリといった複数のオブジェクト群で構成されており、なかなか理解しづらい側面があります。

本記事ではこれらのリレーションをすっきり解説すると共に、実際に価格表×商品のリスト価格を設定する方法までを詳細に解説します。

前提:Salesforceの商談,商品,商談商品,価格表,価格表エントリの使い方

まずはSalesforce上で商談・商品・商談商品・価格表・価格表エントリが使用される場面を簡単に確認しながら、どこで何が使われているのか理解していきます。それでは行きましょう!

下図は一般的な商談レコードを新規作成した画面です。金額や商品は入力されていません。

商談の使い方1

商品を入れずに、商談側の金額を編集すると下図のように、普通に入力した金額が表示されます。組織によっては商品を使っていない場合もありますので、その際はこのような運用になっているかもしれません。

商品の使い方1

次に、この状態で商品を入力してみます。商品のコンポーネントの右側の下▼から商品の追加を押します。

商品の使い方2

すると価格表を選択する画面になりますので、選択して保存します。標準価格表しかない場合はこの画面はスキップされます。

価格表の使い方1

次に、商品を入力する画面になります。左側のチェックボックスから選択して、次へを押します。

商談商品の使い方1

すると、商品の数量や価格を任意で変更できる「選択した商品を編集」画面が表示されます。必要に応じて編集し、保存を押せば、商品の登録は完了です。

商談商品の使い方2

ここで商談画面に戻りますが、商品で登録した金額の合計値が商談の「金額」に反映されているのが分かります。この解説の冒頭で商談に手入力した金額は上書きされてしまいました。

商談商品の使い方3

以上が商品・商談商品・価格表・価格表エントリオブジェクトを活用した商談周りの基本運用・挙動です。

Salesforceの商談,商品,商談商品,価格表,価格表エントリとは?

さて、次に商談,商品,商談商品,価格表,価格表エントリがどのような役割をもったオブジェクトなのか、整理していきます。

商談とは

商談は、顧客への営業活動の進捗やヨミを管理するためのオブジェクトです。商談を使うことで、見込み顧客から成約に至るまでのプロセスをフェーズで追跡し、営業チームが効率的に取引を進められます。

商品とは

商品は、企業が販売する製品やサービスを表すオブジェクトです。商品を商談に紐づけることで、営業担当が顧客に何を提案しているのか・そして受注した商品の種類は何なのかを明確に把握することが出来ます。

商談商品とは

商談商品は、「この商談での商品の個数や金額はいくら」を表し、商談と商品のリレーションの間を取り持つ役割を持っています。これにより、商談ごとに個別の商品の詳細情報を管理できます。

価格表とは

価格表は、商品やサービスの価格設定を管理するためのオブジェクトです。価格自体は価格表エントリに格納されますので、価格表とは「標準価格」とか「代理店に卸す価格」、「セール価格」などの定義で価格表エントリをグルーピングして管理するための役割をもっています。

価格表エントリとは

価格表エントリは、特定の価格表に含まれる商品やサービスの価格情報を管理するオブジェクトです。前述の商談商品の考え方と同じように、価格表エントリは「この価格表でのこの商品の価格はいくら」を表します。 例えば、「代理店に卸す価格の価格表」があるとして、「その価格表の場合の商品価格はいくら」という情報を価格表エントリに格納します。

Salesforceの価格表,商品,商談のリレーションはどうなっている?

ここまで、一般的な業務の中での各オブジェクトの使われ方を確認し、そのうえで各オブジェクトがそれぞれどういった役割を担っているのかを個別に確認してきました。

次は、いよいよ各オブジェクト間のリレーションを俯瞰して把握していきます。ここを読めば、きっとすべてが腑に落ちていただけるでしょう。

中間オブジェクトという考え方

下図は各オブジェクトのリレーションを表しています。商談商品から商談と商品に矢印が伸びており、これは商談と商品を商談商品が参照しているということです。

また、価格表エントリからも価格表と商品に矢印が伸びており、これは価格表と商品を価格表エントリが参照していることを表しています。

商品・商談商品・価格表・価格表エントリのリレーション

このように2つの中間に位置するオブジェクトを中間オブジェクトと呼びます。中間オブジェクトを持つことのメリットは、リレーション自体にデータを持たせることが出来る点です。

どういうことかと言いますと、

通常のリレーションは「商談Aと商品B」のように直接の関係性になります。この関係性のままで商品ごとの金額や個数を表現しようとすると、以下のようになってしまいます。

  • 案1:商品を毎回作ってそこに金額や個数を入れる
    • デメリット:一つの商品を一つの商談と紐づけてしまったら、次に別の商談に紐づける同名の商品が無くなってしまうので作るしかない
  • 案2:商談に商品項目を商品1,2,3 …のように複数作って、その隣に金額1,2,3,…、個数1,2,3…と入力する
    • デメリット:商品を選択する数だけ項目が必要。商品項目1に必ずしも商品Aが入るわけではないため、売れた商品の個数をカウントする際にSalesforce上でのレポート集計が困難になる。

以上のように、うまくいかないかと思います。

中間オブジェクトを使用してリレーション自体にデータを持たせれば、そんなことはありません。

商談と商品の新たな結びつきを作りたくなったら、次々に中間オブジェクトレコードを増やしていけば、組み合わせの分だけ違う情報を持つことが出来るので、大変便利です。

これが中間オブジェクトの存在意義と利点です。

商談商品(中間オブジェクト)は、商談Aと商品Bを組み合わせた場合の、この組み合わせ(リレーション)の場合の金額や個数はいくつ、
価格表エントリ(中間オブジェクト)は、価格表Cと商品Bを組み合わせた場合、この組み合わせ(リレーション)の場合の金額はいくら、を表します。

※Salesforce的には主従関係でオブジェクト間を結んだものが正式な中間オブジェクトという定義になっています。とはいえ参照関係で結んだ場合の呼び名が無いので、本記事では参照も含めて中間オブジェクトと呼んでいます。

不可解な価格表の謎を解く

ここまでの解説で、価格表と商品の中間オブジェクトとしての価格表エントリの役割はご理解いただけたかと思います。

しかし、不可解なのは、価格表エントリに金額を入れたからと言って、それを商談商品になぜ持っていけるんだろう?という点です。

商談商品入力画面で価格表エントリから販売価格が持ってこられている

通常、レコードを特定できたとしても他オブジェクトの値を編集可能な形で別オブジェクトに持ってくることはできません。

商品・商談商品・価格表・価格表エントリのリレーション2

答えは、Salesforceの標準オブジェクトの仕様。ということになります。

上図で商談から価格表に参照が伸びています。実は、商品選択前に価格表選択画面で価格表を選択すると、商談レコードから価格表に参照が張られます。商談は標準項目として価格表を持っています。

そこで価格表が特定できれば、そのあとの商品選択画面で出てくるのは商品と価格表エントリのデータを組み合わせた画面になる、ということです。

価格表エントリを使って商品を価格表に追加する方法

商談商品で正しい価格の商品を選択するためには、価格表エントリを使って商品を価格表に追加する作業を事前に行っておかなくてはなりません。この作業が若干ややこしいので、作業方法を解説します。

商品から設定する

まずはアプリケーションランチャーから商品を選択します。

商品から価格表エントリを設定する1

適宜商品を作成します。

商品から価格表エントリを設定する2

タブを移動し、下図の画面を開きます。標準価格を追加を押します。

商品から価格表エントリを設定する3

以下の通り、価格表エントリの編集画面が立ち上がります。ここで価格表の選択や、リスト価格の登録をおこないます。

商品から価格表エントリを設定する4

価格表から設定する

アプリケーションランチャーから価格表を選択します。

価格表から価格表エントリを設定する1

タブを移動して下図の画面にし、商品を追加を押します。

価格表から価格表エントリを設定する2

追加したい商品を一括して選択することが可能です。

価格表から価格表エントリを設定する3

リスト価格もまとめて編集できます。

価格表から価格表エントリを設定する4