Salesforceのデータ型とは

Salesforceにおけるデータ型は、データの入力、保管、そして分析の際に欠かすことのできない重要な概念で、ユーザーインターフェース(UI)の操作性やデータを保存する形式を決定づけます。

もし、データ型を適切に設定出来ていなかった場合、データの整合性が取れなくなったり、集計自体が難しくなることも起こりえます。

本記事ではデータ型とは何なのか、そして多様なデータ型を網羅して紹介しています。

最後まで読んでいただければ、カスタム項目作成の際、迷いなくデータ型を選択して頂けるでしょう。それでは解説していきます。

データ型とは?

データ型とは、「その項目が何のデータなのか?」を定義するための概念です。項目を作成する際に一度データ型を定義したら、それ以外の形式で入力することは出来なくなります。これは制約と感じるかもしれませんが、大きなメリットがあります。

例えば、「売上」という項目があった場合、データ型が統一されていないと、「100万円」という全角日本語での入力と「1,000,000」という数字が混在し、正確な集計が困難になります。

同様に、本来は「受注」「失注」「商談中」というステータスを表現したい項目に対して、フリーテキストでの入力を許してしまうと、表記の不統一からデータの集計が不可能になることがあります。

前者の例では「通貨」のデータ型を定義しておけば、日本語での入力はエラーになります。

後者の例では、フリーテキストではなく「選択リスト」のデータ型を定義しておけば、「商談中」を「検討中」などと誤入力してしまうことを防ぐことが出来ます。

このように適切なデータ型を選択することで、データの一貫性を担保し、ユーザーにとっては何のデータを入力してほしいのか?というガイドラインを提示することにもなります。

以上のような前提を踏まえ、データ型を選択する場合には、最終的な用途やユーザーが入力する際のUIをイメージして設定していくとよいでしょう。

データ型一覧

データ型を理解する上で、ポイントは2点あります。

①どのようなデータが保存されるのか

②ユーザーが入力する際にどのような表示になるのか

この2点を理解しておけば、迷いなくデータ型を選定することが出来ます。

以下のデータ型一覧では、種類があまりに多いので圧倒されるかもしれませんが、特徴を可能な限り短いコメントでまとめていますので、ざっくりと概要を把握いただけます。

 

テキスト

⽂字列データを255⽂字まで格納します。テキストでも数字でも⼊⼒可能です。

 

テキストエリア

「テキスト」データ型とほぼ同じですが、複数⾏で記載できます。図の右下をドラッグすればエリアを拡⼤することもできます。ただし、⽂字数制限は255⽂字です。

 

ロングテキストエリア

⻑いテキストデータを複数⾏で約13万⽂字まで格納します。便利ではありますがいくつか考慮事項があります。

・数式で参照できない
・リストビューの検索条件に使えない
・レポートで表⽰されるのは最初の999⽂字まで
・テキストやテキストエリアはインライン編集(レポート上から直接編集)できますが、こちらは出来ません。
・なんでも保存箱になってしまい集計が難しくなる(すべてロングテキストにメモるので、集計⽤の項⽬が利⽤されなくなる、ということも)

 

テキストエリア(リッチ)

リッチテキスト(画像や書式付きテキスト)を格納します。以下の特性があります。

・画像を⼊れる
・リンクを⼊れる
・⽂字の⼤⼩・太字・フォントを変更
・⽂字⾊を変更

⽂字数制限や考慮事項はロングテキストと同様になります。

 

テキスト(暗号化)

暗号化されたテキストデータを格納します。下図のように伏字にして情報の機密性を⾼めることが出来ます。クレジットカード番号などに使⽤することがあります。

 

URL

この項⽬に⼊⼒した値がリンクになり、クリックすると別タブで該当ページが開くようになります。
この項⽬⾃体はテキスト型の項⽬です。https〜.comのようなURLになっていなくてもテキストでも数字でも保存は出来ますが、押しても何も開かないという挙動になります。

 

メール

メールアドレスを格納します。⼊⼒時には「URL」とは違い、メールアドレスの形式になっていないと無効な形式としてエラーになります。

 

⾃動採番

レコード作成時に⾃動的にユニークな番号を割り当てます。

 

数式

Excelの数式に似た記述方法で、計算結果を表⽰します。計算結果は数字のほか、テキストを返すこともできます。参照項⽬を介して別のオブジェクトのデータを表⽰したり、幅広い⽤途があります。

 

参照関係

他のオブジェクトのレコードを参照して、関連性を表現します。

 

積み上げ集計

主従関係にあるオブジェクトの従側のレコードの値を主側で集計します。
例えば複数レコードに分かれた売上を合算して、主側のオブジェクトに合計値表⽰したり、複数の商談の中から最新の失注⽇だけを取引先に表⽰したりできます。

 

チェックボックス

真偽値(true/false)を格納するデータ型です。

 

パーセント

パーセンテージを格納します。10と⼊⼒すると10%で保存されます。

 

⽇付

⽇付データを格納します。

 

⽇付/時間

⽇付と時刻の両⽅を格納します。

 

時間

時刻データを格納します。

 

数値

数字データを格納します。⼩数点以下も含め18桁が最⼤です。「⼩数点の位置」を「2」にした場合、「⽂字数」は「16」までの⼊⼒となります。

 

選択リスト

予め設定された選択肢から1つ選択します。

 

選択リスト(複数選択)

予め設定された選択肢から複数選択します。下図のような、左の箱から右の箱に移動させることで選択するUIとなります。

 

地理位置情報

緯度・経度情報を格納します。地理位置情報データ型は、2つの数値フィールド(緯度と経度)で構成されており、位置情報をマップ上で表⽰したり距離計算に使⽤できます。考慮事項として、Salesforceの取引先、取引先責任者、およびリードの標準項⽬では⾃動で緯度経度が⼊ります。例えば請求先住所に正確に住所を⼊れると、以下の項⽬に緯度経度が⼊ります。

・BillingLatitude

・BillingLongitude

カスタム項⽬の地理位置情報データ型は、住所から⾃動で緯度経度を取得する機能はありません。
 

通貨

円表記で通貨データを格納します。

 

電話

Salesforceはスマホでも表⽰できますが、スマホから電話番号項⽬をタップすると電話をかけられます。

まとめ

ここまで、たくさんのデータ型を紹介しましたが、直感的にイメージがつきやすいものばかりかと思います。

データ型は一度決めたら基本的には変更しないですが、使い始めてから「やっぱり違った!」という場合には変更することが出来ます。

ただし、特定のデータ型からは特定のデータ型にしか変更できない場合があったり、データを保持したままで変更できるものもあれば、データがすべて失われてしまう場合もあります。

いずれにせよ最初にしっかりと定義しておくに越したことはないので、ぜひこの記事をお役立ていただけると幸いです。