Salesforceとは? | 背景から何がすごいのか?メリットや注意点を解説

この記事では、Salesforceの多彩な機能と、それを導入することによるメリット、そして注意点を詳細に解説しています。

Salesforceの特徴とは?何がすごいのか

Salesforceは、世界で最も使われているCRMツールです。
CRMとは、「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略称で、顧客に自社のロイヤルカスタマーになってもらう・居続けてもらうことをサポートするシステムです。

一般的に顧客は、自社のことを理解して、自社に適したテーラーメイドなサービスを提案してくれる企業と長く付き合いたいものです。

「顧客理解」と「最適な提案」を行うには、顧客自身のデータはもちろんのこと、これまでの提案などの営業活動の履歴を把握していることが大前提になってきます。

従って、顧客関係をしっかり管理すると、既存顧客を維持しながら新規顧客を増やせるので、拡大し続けられるというロジックになっています。

元々はCRMツールとして始まったSalesforceですが、CRMツールとして優れていただけで現在の唯一無二の地位を築けたわけではありません。
大きく分けて以下の2種類の強みがあります。

①カスタマー360 | 顧客のニーズをすべてカバーするサービス群

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カスタマー360とは、顧客を中心として360度、Salesforceのサービス群でカバーするというSalesforce社が打ち出したコンセプトです。
セールス、サービス、マーケティング、コマース、分析といった全方位のサービスラインナップで、顧客のデータを一つのプラットフォームで管理することで、顧客に対し切れ目のない体験を提供できることが見込めます。それぞれライセンスとしては別個のものですが、こういったサービス群の総称として、端的に「Salesforce」と呼んでいます。
さらに、いち早く生成系AIをサービスに取り込んだことからも分かるとおり、時宜にかなった機能をタイムリーに提供してくれることも、Salesforceの特徴の一つと言えるでしょう。

Salesforceの代表的なサービスは、以下の通りです。

  • Sales Cloud
    見込み客管理や営業活動の可視化、予実管理、売上予測などの機能をもつ営業支援ツールです。
  • Service Cloud
    顧客を理解したうえで迅速で最適なカスタマーサポートを提供できるための基盤です。
  • Account Engagement
    営業担当が介在して製品を販売する際に使用するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。
  • Marketing Cloud
    主に大衆向けにリアル・デジタル双方の来店・購買を促進するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。
  • Commerce Cloud
    Eコマースで製品を販売する企業向けのプラットフォームです。在庫管理や注文管理などの機能を持ちます。
  • CRM Analytics
    BI(ビジネスインテリジェンス)ツールであり、AIを搭載したSalesforceの分析プラットフォームです。
  • Slack
    ワークフロー機能や、他ツールとの連携なども実現できるチャットツールです。もちろんSalesforceとも連携しています。

ソフトウェアの民主化|誰もが簡単にソフトウェアを使える

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今でこそ当たり前になっているクラウドベースのサービスですが、その火付け役はSalesforceでした。当時クラウドベースで動くCRMはそれだけで革新的で、「ソフトウェアを民主化する」がSalesforceのキャッチフレーズとなっていました。

これは、従来の方法として高価なソフトをハードウェアにインストールし、その維持管理にも高額な費用をかけるのではなく、クラウドベースで利用できる形態への移行を意味しています。

クラウドベースのソフトを導入することで、ユーザーは使いたい機能を必要な分だけ選び、利用することができるようになります。これにより、コスト効率と利便性が大幅に向上しました。

そして、クラウドベースのサービスが一般化した現代においては、Salesforceはその民主化のアプローチを「ノーコード」という新たな概念でさらに推し進めています。
「ノーコード」とは、コーディングやデータサイエンスのような特別な技術知識がない人でも、必要な機能を簡単に実装し、目的の成果を得ることが可能になっています。

こうした変革は、小規模企業やスタートアップにとっても大きなチャンスとなりました。従来の高価なソフトウェアや専門知識が必要だった領域にアクセスしやすくなり、世界水準の機能をすぐに使用することができるのです。
Salesforceが推進する「ノーコード」により、システム開発の敷居が大きく下がり、多くの企業がデジタル変革を進める手助けとなっています。

また、Salesforceの「民主化」の考え方は、技術の進化だけでなく、ユーザー教育やサポート体制にも及んでいます。
彼らはTrailheadという、ユーザーが容易にSalesforceを学び、活用するための豊富なリソースを無料で提供しています。これにより、技術的な背景がない人々でも、Salesforceの力を最大限に活用してビジネスを成長させることが可能になっているのです。

Salesforce導入のメリットと注意点

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ここまで、Salesforceとはどういったツールなのか、特徴について解説してきました。
続いて、実際にSalesforceを導入するメリットはどのようなものがあるのか?
そして注意しておくべき点はあるのか?
についてチェックしていきます。

Salesforce導入のメリット

  1. 営業活動を最適化する:
    Salesforceの導入メリットの第一として挙げられるのは、何といっても営業活動の最適化です。
    属人性の高い「営業という業務」をSalesforce上で可視化することで、目標達成までに必要なKPIを細かく分解して管理することが可能となります。個別のKPI達成を達成していけば、自ずと全体の売上が底上げされていきます。
    また、一度定めたKPI自体であっても、データを基に磨き続けてていくことでデータドリブンな営業組織を作っていくことを狙えます。
    さらに、トップ営業の活動量や活動内容が可視化されることにより、自社サービスの営業勝ちパターンをストックすることが出来ます。これを、営業を育成のためのコンセプトであるセールスイネーブルメントに活用することで、定量・定性の両面で強い組織を構築していく助けとなるでしょう。
  2. バックオフィスも含んだ組織全体の業務基盤にできる:
    Salesforceは、なにも営業を管理するためだけのツールではありません。標準機能として契約管理、注文管理、サービス提供の管理などの機能も用意されていることからも分かるように、営業が受注した商談を起点として発生する様々な業務をSalesforce上で運用することが出来ます。
    自社のすべての業務がワンプラットフォーム上で完結すれば、言うまでもなく効率性が向上します。さらに、Salesforceの得意領域であるノーコードのオートメーションを使用して、属人化していた作業を自動化することも可能です。
    これにより顧客へのサービス提供までの期間が短縮されれば、売上アップに直結する改革ともなり得ると言えます。
  3. 誰もがデータを自由に取り出して活用できる:
    Salesforceが標準機能として用意している、レポートとダッシュボードを使用すれば、組織内の全員が簡単にデータを取り出し、ビジュアル豊かに可視化することができます。
    これにより経営層はサービスの売れ行きやクローズまでの期間など重要なビジネス指標をリアルタイムで把握し、事業戦略の策定に役立てることが可能になります。
    営業チームは売上予測や予実管理に活用し、高い精度の営業戦略を立案できます。
    バックオフィスでは、業務進捗の効率化や生産性向上が実現します。
    結果として、データの自由な活用は、個々の従業員がより賢明な判断を下し、組織のアジリティを(敏しょう性)高め、市場の変化に迅速に対応する能力を強化します。

Salesforce導入の注意点

  1. トータルコストが想定より高くつく可能性:Salesforceの価格はWEB上で確認することが出来ます。例)Sales Cloudの価格
    Sales Cloudの価格は以前は18,000円でしたが、現在は値上げされています。値上げの可能性についても考慮しておいた方が良いでしょう。
    また、Salesforce社の提供する公式サポートであるPremier Success Planをもし付けるならば、ライセンス全体に+30%のコストとなります。
    その他、導入時にかかる費用としては、Salesforceを構築する費用がかかります。構築をおこなうのはSalesforce社ではなく、Salesforceの営業担当が外部の認定パートナーを紹介してくれます。(費用感はケースバイケース)
  2. 導入しても使いこなせない可能性がある:Salesforce導入に当たって、Salesforce社の営業担当や外部の構築ベンダーは支援してくれますが、大前提としてSalesforceはセルフサービス型のツールです。
    自社が何をしたいのかは自社で考えて、運用してみて、改善を回していくプロセス自体は自社内で完結出来る必要があります。
    また、ノーコードによる開発は、自動化のハドルを下げてはくれますが、誰でも今すぐに使いこなせるようになるわけではありません。自社内に情熱をもってSalesforceを活用推進できる人材が必要となるでしょう。
    一方でそういった優秀な人材は、スキル獲得後の流動性も高くなりがちなため、長期的な視点を持って、本当に安定運用できるかどうかを検討しておいた方が良さそうです。

Salesforceの導入事例

Salesforceを活用する上で、業種による向き不向きはあるのでしょうか?
Salesforceがホリゾンタル(水平展開の)なSaas(ソフトウェア)であることからも、業種による向き不向きは特にないと言ってよいでしょう。

以下にSalesforce社の事例紹介ページから、導入企業の業種を抜粋します。
Salesforceユーザー各社の担当者の写真が掲載され、誰もが喜んでこのツールを使っている様が見て取れます。

  • 製造
  • 小売・消費財・食品
  • 金融・保険
  • ビジネスサービス
  • メディア・コミュニケーションズ
  • ヘルスケア・ライフサイエンス
  • 公共機関
  • 建設・不動産
  • 教育 自動車
  • 旅行・交通・運輸サービス
  • 非営利団体
  • IT・ソフトウェアサービス

まとめ

本記事では、世界No.1のCRMであるSalesforceがなぜすごいと言われるのか、背景を解説してきました。

Salesforceは、顧客のニーズに寄り添った製品ラインナップと、顧客がセルフサービスで必要な機能を簡単に開発できることが特徴です。

ユーザー側の事業を取り巻く環境は今まで以上のスピードで変化し続けますので、柔軟に素早く変化に対応できるSalesforceは、現代のニーズに非常にマッチし、様々な業種や企業規模で大いに歓迎されています。

ただし、サブスクリプション型の料金が決して安くはないですので、どこまで使い倒して成果に繋げられるかがポイントとなるでしょう。

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