Salesforceでは毎年3回のメジャーリリース/バージョンアップがあります。
新たな機能が追加されて、さらにSalesforceが便利になるのはうれしいことですが、既存の環境に影響がないかを調査して準備しておくことが重要になってきます。
本記事ではメジャーリリース/バージョンアップのスケジュールや、準備手順についてまとめています。
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Salesforceのメジャーリリース/バージョンアップとは?
Salesforceでは毎年3回のバージョンアップがあります。このバージョンアップでは、新規機能の追加、パフォーマンスやセキュリティの改善、総合的なシステムのアップデートが行われます。リリースは毎年2月、6月、10月の年3回実施されます。
このことを指してメジャーリリース、もしくはメジャーバージョンアップと呼びます。
Salesforceのメジャーリリース/バージョンアップには名称があります。
- 2024年2月のリリース⇒Spring’24
- 2024年6月のリリース⇒Summer’24
- 2024年10月のリリース⇒Winter’25
上記のサイクルが毎年繰り返されます。例えば、2025年だったら以下の通りです。winterだけ翌年の数字になるのが注意点です。
- 2025年2月のリリース⇒Spring’25
- 2025年6月のリリース⇒Summer’25
- 2025年10月のリリース⇒Winter’26
Salesforceのメジャーリリース/バージョンアップのお決まりのスケジュール
Salesforceのメジャーリリース/バージョンアップに備えて、Salesforce社は事前の告知やテスト環境の用意をしてくれます。このような、メーカー側が準備してくれる内容がリリースされるお決まりのスケジュールがありますので紹介します。
以下のリストの「○○週前」というのは、メジャーリリース/バージョンアップ日から逆算した時期を指しています。
- 8週前:英語版リリースノートが公開される
- 6週前:日本語版リリースノートが公開される
- 6週前:Sandboxプレビューに参加するならばここまでが対応期限
- 6週前:Sandboxプレビュー開始
- 新バージョンに移行
いくつか用語が出てきましたので解説します。
リリースノートとは
リリースノートとは、メジャーリリース/バージョンアップされる機能を詳細に記したものです。
下図のとおりPDF版と、WEB版があります。
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ただし、リリースノートは詳細過ぎて、忙しい方は追いきれないボリューム感です。
そのような場合は、リリースオーバービューデック(Release Overview Deck)というものがありますので、こちらでチェックする、でもよいでしょう。(出る時期は若干遅めです。)
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このような最新情報は、Salesforceの公式サイトのサクセスナビにまとまっています。
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なお、サクセスナビのURLの末尾が数ですとsummer24になっていますが、spring24にすると当時のページを見ることが出来ました。
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Sandboxプレビューとは
Sandbox Preview(サンドボックスプレビュー)とは、Salesforceのメジャーバージョンアップ前にサンドボックス環境で新バージョンを先行して試す機能を指します。このプレビューを利用することで、新バージョンに含まれる変更点や新機能を本番環境へ適用する前に体験し、テストすることができます。
詳しいプレビュー方法はこちらの記事で紹介しています。
メジャーリリース/バージョンアップ時の準備とリリース手順
リリースに際して何か作業をしないとリリースされないということではなく、事前に備えておく一般的な手順を紹介します。リリース自体はその日が来ればすべての組織に強制的に適用されます。旧バージョンを延長することは出来ません。
事前調査
英語版リリースノートが公開されたらざっと確認しましょう。日本語版はSandboxプレビューの時期と同じくらいにリリースされます。英語版がバージョンアップの8週前、日本語版が6週~5週前くらいに出ますので、まあ5週間あれば調査して対応できるだろう、ということであれば日本語版を待ってから対応でも良いかと思います。
リリース日は日本国内ではどの組織も一緒ですが、念のため確認するにはこちらのサイトから確認します。
自組織のインスタンスを入れます。インスタンスは組織情報から確認できます。
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AP55と記載の部分をクリック
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下図の画面が開きますので、メンテナンスのタブを選択すると先々の予定まで確認できます。
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テストの準備
Sandboxをリフレッシュし、現行バージョンとプレビュー版の比較のために2種類のSandboxを用意します。プレビュー用Sandboxはプレビュー参加対応期限までに用意します。何をテストするのかを決めておきます。apexやvisualforceなどの開発が入っている機能のうち、クリティカルな機能のみに絞ってテストしてもよいでしょう。
テスト実行
実際にテストを実施し、不具合があった場合は、本番リリース日までに修正しましょう。修正がうまくいかない場合は、Salesforceのサポートに早めに問い合わせるのと、対象の機能を止めた場合の影響調査やOPS変更も検討した方がよさそうです。
ユーザーへの周知
リリーススケジュール、新機能や変更点をユーザーに周知します。
本番リリース
リリースは自動的に行われますので、リリース後に問題ないか確認して終了です。
またリリース時間帯にフローやapexのバッチが起動するとエラーになりますので注意しましょう。
まとめ
メジャーリリース/バージョンアップは年3回あるのでしっかり準備を使用とすると結構大変です。どこまでしっかり準備するかは、自社の環境に拠ってきます。フローしか使っておらず、そこまでクリティカルな処理をしていないようであれば日本語版のリリースノートをざっと読むくらいでも良いかもしれません。
逆に、コーディングによる開発を多用しており、発注や請求など重要な処理を行っている際は本記事で記載した内容を毎回マストでおこなうことが必要になるでしょう。
通常の保守対応にバージョンアップ対応が載ってくることになりますので、そのぶんのリソースを最初から計画に入れておくのがベターです。