Salesforce社の提供する「10分で学ぶシリーズ〜データ分析の始め方編〜分析の上で重要なステップとは?」という動画コンテンツが初心者向けにかなり分かり易い内容だと感じました。動画の内容を参考にしつつ、これからデータ分析を始める方に向けて詳しいガイドを作成しましたので、ぜひご覧ください。
なぜ今データ分析の需要が高まっているのか?
多くの企業では、システム化の進展に伴い、日々の業務で生成されるデータが社内に蓄積されつつあります。これにより、データを活用して何かしらの価値を生み出せるのではないかという期待が高まっています。
また、サービスの差別化が難しくなっている現代において、データ分析から得られるインサイトは、競争優位性を生む大きな要素です。他社がまだ発見していない顧客のニーズや市場の動向を見つけ出すことで、新たなビジネスチャンスを掴むことができます。
さらに、データに基づいた意思決定は、直感や経験に依存した判断よりも正確性が高く、企業がリスクを最小限に抑えつつ、効率的な運営を行うために不可欠です。このように、データ分析は企業の成長と競争力強化においてますます重要になっています。
データ分析を始めるにあたって気を付けたい「落とし穴」
以前私が勤務していた企業で実際にあったことですが、役員から「営業部門の売上を上げるために、データ分析でインサイトを出してほしい」と依頼を受けました。
当時の私は、データ分析においてまず何から手を付けたらよいのかさっぱりわからず、途方に暮れました。社内にデータはたくさん転がっておりましたので、Salesforceでそれらしくレポート化・ダッシュボード化してプレゼンしました。
しかし結果は微妙なもので、私がデータ分析にかけた時間と労力はほとんど無駄になったという苦い経験があります。
Salesforce社の動画「10分で学ぶシリーズ〜データ分析の始め方編」によると、上記のパターンは典型的な「データ分析の落とし穴」にハマった状態です。
- データ分析の落とし穴①:目的意識なく、ただ単にレポートを作る
- データ分析の落とし穴②:今あるデータを大量に渡され、インサイトを出してほしいという依頼を受ける
営業の受注額を上げるという目的は提示されたものの、どうやって?の部分が抜けていたり、データありきでアウトプットを作るようなアプローチでは成果には結びつかない、ということになります。
このような状態が今まさに日本の多くの企業でも起きており、データがたくさんあるのに活用方法がわからない・データ分析は難しい、という方が増えているのだと思います。
それではデータ分析を始めるには何から行っていけばよいのでしょうか?続いて紹介していきます。
データ分析を始めるための5つのステップ
データ分析を始めるためには、以下のステップに当てはめて考えると、どうやって分析を始めたらよいのかイメージがわいてきます。
ステップ1: 目的を決める
データ分析を始める際に最も重要なのは、何のために分析を行うのかという目的を明確にすることです。目的が定まっていなければ、どのデータを集めるべきか、どのような分析を行うべきかが見えてきません。たとえば、売上向上を目的にするのか、顧客満足度の向上を目指すのか、まずはそのゴールをはっきりと設定しましょう。
ステップ2: 目的を達成するための行動を決める
次に、その目的を達成するために具体的にどのような行動を取るべきかを決定します。たとえば、売上向上が目的であれば、新製品のプロモーションを強化するのか、既存顧客へのリピート購入を促進するのかなど、具体的な戦略を立てることが求められます。この段階で、目的に直結した行動計画をしっかりと練りましょう。
ステップ3: どんな行動をおこなうのか詳細を意思決定する
目的達成のために必要な行動が見えてきたら、その行動の詳細を具体的に意思決定します。例えば、売上を伸ばすために「プロモーションを強化する」という行動を選んだ場合、次にどの製品を対象にするのか、どのチャネルでプロモーションを行うのか、予算はどのくらい確保するのかなど、実際のアクションプランを決める段階です。
この段階では、可能な選択肢を比較し、どの方法が最も効果的かをデータに基づいて判断します。
ステップ4: 意思決定のためにどんなレポートがあればよいのか決める
次に、その意思決定を支えるために、どのような形式のレポートが必要かを決めます。レポートには、例えば売上の推移を示すグラフや、顧客の購買行動のトレンドを示すチャートなどがあります。これにより、データを視覚的に捉えやすくし、意思決定をサポートします。
ステップ5: レポートを作るためのデータを選定する
最後に、そのレポートを作成するために必要なデータを選びます。データ選定の段階では、信頼性が高く、目的に合致したデータを選ぶことが重要です。例えば、売上の推移を分析するには、期間ごとの売上データや顧客数のデータが必要です。適切なデータを収集し、分析に役立つ形式で整理することで、より効果的なレポート作成が可能になります。
まとめると、目的から階層的に分解していくプロセスが必要であり、何のデータ・レポートが必要なのかはビジネス要件ありきだということです。
データ分析の5つのステップに具体例を当てはめてみる
続いて、具体例をもとにデータ分析の5つのステップを見ていきます。
下図は一例ですが、売上5億UPという目的に向かって、新規開拓と既存を深耕するという2つの打ち手を検討しています。新規開拓する場合には、営業がアポ率を高めるアプローチと、リード数を高めるアプローチなどいくつも考えられますが、ここではマーケティング部門によるリード数を増やすとよいのではないか?という仮説をもって分析しようとしています。
分析を進めるためには、リードからの商談化率をもとにして何件リード獲得すれば予算達成できるのか検討するためのレポートや、元データが必要です。
すでにお気づきのとおり、このような分析が1回で終わることはありません。例えば、リードを増やすのと営業のアポ率を高めるのとではどちらが有効なのか?といった比較をしたくなる場合があります。
また、そのような予想を立てて分析する側がレポートを用意したとしても、役員に持っていったら「リードに対応するための採用費をこんなに出せない」というネックが出てくる場合もあります。
したがって、データ分析は何度も意思決定者・現場関係者等に見せることが前提となり、時間のない彼らがパッと見てすぐに理解できるデータになっていることが必要で、さらにサイクルを拘束に回せることが求められてきます。
こういったニーズに合わせて、データ分析基盤であるTableauやCRM Analyticsなどのツールが展開されています。
まとめ
本記事では、データ分析のために目的から逆算して5つのステップで考えていく、という考え方を紹介しました。
前半で出てきた私の失敗例ですが、営業の売上を上げるためのインサイトを出してほしい、という要望に対し、どうやれば売り上げが上がるのかといって点を握っておけば、より的を射た分析になっていたかもしれません。
なお、本記事の参考にさせていただいたSalesforce社の動画はこちらになります。